小説

サンプルを二つほど

最初のほうの挿絵は手描き

二作目はAIイラストの挿絵です。

ヌードが撮りたい 1』

 服部深は、自分の上で腰を振る、全裸の女性を不思議な気持ちで見上げていた。

 なぜかわからないうちに、童貞を卒業してしまった。

 彼は、京都の府立高校に通う十六歳だ。

この話は、今から一週間ほど前から始まることになる。線画 が含まれている画像

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 じいちゃんの葬儀があったのは、昭和四十九年の夏のことだ。大分県国東半島の町で町議をしていたじいちゃんは、心不全で突然亡くなった。まあ七十歳も超えていたので大往生と言えるだろう。

 葬儀なんて行きたくはなかったが、そうもいかない、親に連れられて深は大分にやってきた。

「物置の中にいろいろあるから、ほしいものがあったら持っていきなさい」

 おばあちゃんが集まった一族を見渡していった。形見分けというわけだが、誰もあまり乗り気ではなさそうだ。

 そのわけは物置に入って理解ができた。

 おじいちゃんは趣味人だったのだろう、楽器からスポーツ用品、本に組み立てられたプラモデル。十六の自分の部屋と言っても通りそうな、玩具ばかりが並んでいた。

親たちが無視したのは当然だ。孫たち、つまり、深のいとこたちはなぜか女性ばかり。

 

そういうわけで、深は一人で物置の中を漁ることができたのだ。

 できれば物置丸ごとほしい、深はそう思った。それほど彼にとってここは宝の山だった。

しかし、これだけの量のものをもって帰ったら、深の家では置く場所がないのは明白だ。

 

取りあえず何かということで、ガットギターを手に取り物置を出ようとしたとき、深は何かに呼ばれた気がした。

 振り向いた深の視界に皮のケースが映った。なんだろうと思って手に取ると、ドイツの有名なカメラメーカーの刻印が読めた。

「カメラか、高そう」

 

ケースを開くと、レンズが縦に二つ付いている。確か二眼レフとか言うカメラだ。手に取るのはもちろん初めてだったが、なぜか扱い方はわかった。

 レンズキャップをとり、上からのぞくファインダーを見ながらピントを合わす。シャッターもきちんと動いた。

「おばあちゃん、この二つもらっていい?」

「ああ、何でも好きなものあったらあげる。深が使ってくれたらおじいちゃんきっと喜ぶよ」

 あと、できたらまだ欲しいものあるから、物置の中そのまま置いておいてくれないって頼むと、それも二つ返事で了解してくれた。

「そうかよかったな、じゃあ当分の間、深は何もいらないってことかな」

 父親が笑いながら言うが、半分以上本気に思えた。

 瀬戸内海を通るフェリーに乗り、親より一足先に、深は京都に帰ることにした。

ごろ寝の二等でいいと思ったが、お金は実家から出るということ一等船室に乗ることができた。やることもなく、ベッドで横になった深はいつのまにか寝てしまった。

「ヌードをとりたい、風景なんて、鉄道なんて、女だ。ヌードだ」

 誰かが叫ぶ。

「おい、深、お前が撮ってくれ。大丈夫だ、段取りは儂に任せろ」

 大声で起こされた深は、何かに導かれるように起きると、カメラを手に取りデッキに出た。

 デッキに出ると海を眺めている女性の後ろ姿が目に入った。とたんに、女性のスカートが風に翻った。

フレアのワンピースが腰までまくれ上がり、女性は小さく悲鳴を上げた。

 同時に帽子が飛び、深の足元に転がってきた。瞬間やばいと思ったが仕方がない。深は帽子を拾うと女性に差し出した。

「見た?」

 

深は首を横に振った。嘘だった夜目にも白いレースのパンティーをがっちり見ていた。

「ま、いいか君、可愛いから」

 可愛い?そんなことはじめて言われた。夜だからよく見えていないのだろう。

 突然、深の意識とは別に言葉が出た。

「お姉さんの方がもっとかわいいですよ、できたらヌード写真を撮らせてもらえませんか」

 深は手にしたカメラを見せた。

 おい、俺は何を言っている、深は自分の言葉に焦った。

 女性はちょっと驚いた顔をしたが、何かを感じたようだ。笑顔を見せた。

「君、一人? そんなことないよね、親御さんと一緒かな」

「いいえ、今回は一人です」

「撮らしてあげてもいいけれど、ここじゃいやだな、どこか」

「じゃ俺の部屋はどうですか、個室です」

「え、君、お金持ちなの」

深は慌ててかぶりを振ると、フェリーに乗っているわけを、ざっと話した。

「それかわったカメラだね」

「二眼レフって言うんです。普通のよりフィルムが大きいから、きれいに映るんです」

 女性は全く警戒心を抱くことがなかったようで、深の船室へとついてきた。

「へ―そうなんだ。私のこんな貧弱な体でも?」

「貧弱なんかじゃないですよ、そそります。あ、俺、深って言います、服部深」

 名前を教えないと会話が面倒なことに気が付いた。

「私は、真紀、だけでいいかな」

「十分です、じゃあ、真紀さん脱いでもらっていいですか」

自分ではない何かにしゃべらされている、さっきから深はそんな気がしていた。

普段の自分なら絶対に言えそうにない言葉が、すらすらと出てくるのだ。

「うん、そうだね。まずは撮影してから」

 真紀はワンピースを足元に落とした。さっきデッキで見たパンティと、お揃いのブラジャー。

「こっち向いて、適当にポーズ付けてください」

 彼女はモデルなのかと深は思った。それほど自然にポーズをとっている。

「次はブラジャーはずしてもらえますか」

 乳房の形はいいが、乳首の色が濃いような気がする。と言って深は生身の女性の裸を見るのは、生まれて初めてだ。グラビアやエロ本のモデルと比べての話で、普通はそんなものかもしれないと思った。

「ね、深くん、私だけ脱ぐのやだな、一緒に脱いでよ」

 確かにそうかもしれない。深はカッターシャツとジーパンを脱いでブリーフ一枚になった。

しかしそれも何となく間抜けた姿に思えた深思い切って、素っ裸になった。

「思い切りいいなぁ、じゃあ私も」

 真紀は真に背を向けるとパンティを脱いだ。

薄めの陰毛は手入れしているのだろうか、きれいな三角形に整えられている。

つまりは誰か見せる相手がいるということだ。

 それは当然だろうと深は思った。改めて見るまでもなくサラサラの長い髪、整った顔立ち、真紀はもてるに決まっている。

「深くんて、高校生? 彼女は、セックスしたことある」

 真紀は脱ぎながら、ポーズをとりながら、おしゃべりを続けている。意外と恥ずかしいのかもしれない。

「十六です、生まれてこの方、いません、一人でしこしこ」

「私なんてどう?」

 普通なら、カメラを落とすし、下半身はこの状況だけで……、のはずなのに、深はなぜか落ち着いていた。

 デッキで彼女を見かけたときから、そうなるのが必然だと思えていたのだ。

「ぜひ、お願いしたいです」

 ストレートな回答に、むしろ真紀のほうが慌てたみたいだ。

「すごいなあ、よくそんなに落ち着いてられるね。それとも私に魅力がない?」

「まさか、すごく魅力的ですよ、週刊誌とかでも真紀さんぐらい素敵な人見たことないです」

「ほら、そういうとこ、十六で言えるって、絶対変」

深もそう思う。そもそも自分はおとなしくて、女の子に声をかけることなんかできないタイプのはずだった。

「多分カメラのせいかも」

「ふうん、カメラか、まあそういうことにしよっか」

 真紀はどこまで信じたかはわからない、そもそも言っている深すら信じていない。

「ね、この部屋お風呂あるんだね、一緒に入らない」

 なぜか、ばあちゃんが奮発してくれたらしく、すごい贅沢な部屋を一人で使っている。

 二人で体を洗いあう、というか触りあった。真紀の体はすべすべしてそのうえ、柔らかい。

 胸に手を伸ばすと弾力がある。乳首を指でつまむと真紀はほんの少し切なげな声を漏らした。

 揺れる湯船の中に二人で入る、後ろから真紀を抱きかかえ股間に指を伸ばした。

 生まれて初めて触る女性の『まんこ』だった。

「なんか不思議な作りしてる」

「バカ」

 二人の距離が、近くなったような気が深はした。

 柔らかい、むにゅっとした感覚に、今まで静かだった深の『ちんこ』はやっと反応した。

ベッドサイドに座った真紀は、深に向けて突き出した掌を上に向け、小指から順に指を折った。誘ってる。

「えへ、色っぽい? 一度やってみたかったの」

「うん、ドキドキする。」

 ベッドあおむけになった深の顔に、真紀の顔が近づき、唇に唇が重ねられた。

 もちろん深にとっては、生まれて初めてのキスだ。

 柔らかい真紀の唇が、深の唇を開き侵入してくる。舌が絡まると一気に気分が高まった。

 真紀は深の頭を両手で抱えると胸に押し当てた。深は右手で乳房を揉むと乳首を軽くかんだ。手順はこれでいいのか?

真紀の口からため息が漏れる。間違ってはいないらしい。

 左手が掴まれ真紀の股間へ導かれた。風呂の中では濡れていなかった部分が、ねっとりしたもので濡れている。

 指を入れると中は熱い。ここにいれるのか、狭そうだった。

「見たい、見せて」

 真紀は答える代わりに脚を開いた。

 真紀の『まんこ』は肌がしわのように縦に走っている。そこから小さな唇のようなものが、顔をのぞかせていた。初めてまじかで見る『まんこ』に心臓が早くなっていく。

「私のおかしくない?」

「今まで見たことがないからわかんないや」

「好きにしていいよ」

 好きにしてと言われても、深は困った。指で開いてみると唇の中にぽっかりとピンクの穴が開いている。

舌を入れてみると、何とも言えない変な味がした。もちろん嫌いな味ではない。

 唇の合わさったところに、ポツンととがったものがある。迷わず舌でつついた。

 真紀が小さく声をあげる。

 深の『ちんこ』はもうカチカチだった。

「いれたい、入れるよ」

答えの代わりに、真紀は『まんこ』のいり口まで『ちんこ』を導いてくれた。

 腰を入れると『ちんこ』が暖かいものに包まれた。

 コンドームをつけない、生身だということに深は気が付いたが、今更止められなかった。

 真紀もわかって、挿入を許しているところを見ると、何らかの対策をしているのだろう。

中は思ったよりは狭くないが、肉の壁が『ちんこ』にまとわりつく。奥まで当たったところで一度腰を引き、もう一度深く突き刺した。そこが限界だった。

 もう少し我慢と思ったが、吹き出していくものを押しとどめることはできなかった。ものがビクンビクンと動く。

 背中に回した真紀の手が、深を抱きしめた。

「すごい、いっぱい出したね、溢れちゃう。十六年分かあ」

 起き上がった真紀はティッシュを『まんこ』にあてた。

「洗ってくるから待ってて。あ、深くんのも洗ってあげる、もう一度一緒に入ろうか」

 深に断る理由はなかった。今度はもう少しゆっくり真紀の体を触りまくりたい。

「今度は私が上になりたい。さっきよりは頑張ってね」

 ベッドに戻ると、真紀はそういうと深のものを咥えた。

 亀頭から睾丸まで舌がまとわりつく。一度出しても、深のものは硬さを保ってはいたが、それが一回り大きく硬くなった。

 

真紀はペロッと舌なめずりをすると、深の上にまたがってきた。自分の『ちんこ』が真紀の中に入っていくのを見るのは、楽しかった。

『まんこ』が広がっていく、丸善の洋書コーナーで売っているエロ本でも、ここまで詳細なものは見ることができない。

 真紀が乳房を揺らして腰を上下する。勢いあまって抜けそうになる『ちんこ』を、腰を抱いて押しとどめる余裕が生まれている。

「ああ、ひい、い、い、いくぅ」

 真紀は深の胸に両手をつくと、思い切り身体をそらした。

 後ろに倒れかけた彼女を抱きしめ、深は放った。

 夜が明け、そろそろ船は神戸に入港する。結局、真紀はずっと深の部屋にいた。

 彼女の荷物はハンドバックだけだったみたいだ。

 彼女には色々聞きたいことはあった。が、どうも無理っぽい感じがあり、深はあきらめていた。

彼女は自身のことを聞くたびに、微妙に話を誤魔化している。

「写真は送らなくてもいいよ、多分受け取れないから。その代わり私のこと忘れないで」

 写真を送ることを理由に住所を聞こうと思ったのに、それもあっさり躱されてしまった。

「忘れはしないけど、真紀さんのことを、何も知らないのは寂しいです」

 思い切って言ってみた。

「多分、二、三日中には分かるよ、じゃあね。楽しかった」

 真紀は深にキスをすると、あとを追わないで、と言い残し部屋を後にした。

 三宮から向日町までは国鉄の各駅停車で、小一時間だ。昨日の疲れで、深はつい居眠りした。夢の中で誰かがささやく。

「まず一枚目、もっともっと撮ろうな」

 目が覚めた。電車は神足駅を過ぎている、次の次だ。寝過ごしてしまうところだった。

 大分から戻ってきて三日、忌引きで休んでいた学校も今日から行く、その朝にテレビのニュースで深は真紀と再会した。

「村岡真紀、二十三歳。福岡で勤めていた金融機関の金を横領、勤務先が被害届を出す前に警察に自首した。横領額は億を超える模様だが、動機等はこれからの捜査による」

 淡々としたアナウンサーの声、テレビに映る写真は真紀だといえば、真紀だけれど、深の知っている本人は、もっと美人だった。

 横領、自首、どれも現実のこととは思えない。彼女は逃亡するつもりだったのか、それとも。

 深は、デッキで海を見つめていた真紀の姿を思い出した。

「お帰り、大分どうだった、って言ってもお葬式か、楽しいも何もなかったね、ごめん」

 朝、阪急電車の駅で話しかけてきたのは、隣の家の早川萌だ。深が小学生の時にこの住宅地ができて、二家族ともに同じころに引っ越してきた。

 小学生のころは、ちっぽけで、がりがりの女の子だったが最近は出るところもでて、女らしくなっている。

深は昔から好きなのたが、友達の域からでていないような。

 もっとも、周囲からは、二人は付き合っていると思われている。それを萌も否定していないということは……、そんな仲だ。

「気にしなくていいよ、もういい年だったし。形見にいっぱいもらってきた。あとで見に来る? ギブソンをもらってきた、ほかにも今日バイクが届く」

「ギブソンってフォークギター? 亡くなったのはおじいちゃんだよね」

「そうだよ、なんか年の割には若くてさ、バイクも町でのチョイノリ用に買ったらしいんだけど、みんなはいらないって言うし、俺がもらった。それも今日着くって」

「免許もってた?」

「取りに行く、今度」

「そっか、後ろ乗せてね」

 萌の顔が輝いたことに深は驚いた、彼女がバイクや、ツーリングに興味があるとは思っていなかった。

「無理、原付だから」

「なんだつまんない」

 というほど、残念がってはいなさそうだ。やっぱりな、萌はバイクの後ろに乗る、という感じじゃない。

「今日は何時頃帰る?」

「部活終わってからだから」

「あ、私もだ」

 ちなみに深は空手部、萌は美術部だ。

「じゃ、後で」

 深たちの通う府立K高校は単位を自分で選ぶこともあって、同じクラスだからと言って、みんなが同じ授業というわけでもない。

 次のヌードは萌かなあ、後ろ姿を見ながら、深はちらっと思い、そして慌てて打ち消した。

 ヌードとなれば絶対その先もある、萌がそんなことをさせてくれるとは、深にはまだ思えなかった。

「ごめんください」

「いいよ、はいって」

 てっきり萌だと思って玄関を開けた深の目の前にいたのは、見知らぬ女性だった。

「服部深さん、ですね」

 ショートにした髪とかっちりしたスーツ。意志の強そうな目に整った顔だち。笑ってはいるがどことなく冷たい表情。

 女性はハンドバックの中から、黒革の手帳を出すと中を開いた。

 制服姿の女性の写真が貼ってある。

「京都府警本部の市川と言います」

「はあ、え、刑事さん」

「ちょっとお話、いいですか」

「はい、中の方がいいですか?今誰もいないんですが」

「ご両親は?」

「父母は法事で大分に行っています」

「法事で? あ、だから別府からのフェリーに」

 フェリーという言葉で、深は市川の用事の内容が分かった。

「真紀さんの件ですか」

 市川の目が鋭くなった。

「なぜそう思うの? 彼女とは知り合いだったの?」

「ニュースで事件を知ってびっくりしています。フェリーの中で初めて知り合いました」

「ああ、なるほど。そうだよね、どう考えても接点がないものね」

 確認に来た? まさか真紀が自分に貢いだなんて考えたのか。

「わかりました、じゃ、これで」

 市川は、頭を下げて帰ろうとした。

 は、それだけ、刑事の来訪に、多少身構えた深は拍子抜けしてしまった。

「で、なんで部屋の中に彼女の指紋があったの?」

 緊張が解けた深の気配に、市川は振り向くと言った。

 安心させて本当に知りたいことをぶつける、尋問の基本らしい。

「お風呂や、いたるところに彼女の指紋があったんだけど」

 部屋中の指紋を採取したというのか。船の人は清掃もしたはずなのに、よく出たなと深は思う。

「あの、それは」

「フェリーで初めて知り合って、部屋に連れ込んだの?」

 深はどういうべきかと頭をフル回転させた。

「こんばんは」

 いきなりドアがあいて萌が顔を見せた。

「あれ、美樹ちゃん」

「美樹ちゃんって、あなたは」

 と言いかけて、市川は萌が誰かがわかったみたいだ、突然姿勢を正した。

「早川課長、じゃなかった確か今は園部署長の」

「娘の萌ですけど、そんなに固くならないでくださいよ。父は父、私は私です」

「あ、はい、なぜお嬢さんがここに」

「私の家となりだから、それより市川さんこそどうして。あ、深のお父さんに? って、お父さん単身赴任中だし違うか」

「お父さん?」

「深のお父さん知らないんですか、今は地検舞鶴支部長」

「え、地検支部長ですか」

 市川の顔が明らかにひきつった。この人はわりと権力に弱いんだなと、深はおかしくなった。

「フェリーで女性と知り合ったんだけど、その女性が横領で逮捕されてさ、その話を聞きたいんだって」

 深は市川に断って部屋に行くと、カメラを持って玄関に戻った。

「これ祖父の形見のカメラなんですけれど、真紀さんが写真撮ってほしいって」

「この女撮れるぞ、素っ裸にして撮ってやれ」

 カメラを手にしたとたんに声が聞こえた。真紀の時と同じだ。

 深はぐるっと周囲をみまわしかけてやめた。自分たち以外がいるわけはない。

萌にも市川にも声は聞こえていないようだ。

「なるほどそういうことですか、わかりました」

 市川は何となく居心地が悪そうだ、もう少し深のことを調べてから来るべきだったと、後悔しているに違いない。

「それでは、ご協力ありがとうございました。私はこれで」

「市川さん、何か思い出したらお電話差し上げたいので、お名刺いただけますか」

 市川は少し逡巡したが、一枚の名刺を差し出した。府警本部刑事部少年課巡査部長市川美樹とあった。

「ねえ、写真ってなあに。私も撮ってほしい」

 カメラからは、何も声は聞こえない。つまりまだ萌のヌードは無理ということに違いない。

「いいよ、バイクの前はどう」

 市川が尋ねてくる少し前に、バイクは届いていた。スズキハスラー125cc。

 原付じゃない方が送られてきた。免許はちょっとばかり面倒だけど、何とかなるだろう。

『ワイルドセブン』でオヤブンが乗っていたのはこれの400だったか。高校には乗って行かない方がいいようだが、遊ぶにはもってこいだ。

「後ろに乗せてやれるよ」

「ほんと? じゃあヘルメット買う」

 萌はハンドルに手をかけると、シートに座ろうとしたのか、脚を振り上げた。ミニスカートというのを忘れているのか。薄いブルーのパンティーが見えた。

「萌、見えてる」

「え、きゃ」

ダイアグラム

AI 生成コンテンツは誤りを含む可能性があります。 慌てて、ハンドルから手を離した拍子にバランスを崩した萌は、深に抱きつく格好になった。

 二人して地面に転がる。痛かったが、それより萌の身体が上にある方が気になった。やわらかい。つい背中に腕を回してしまった。

「こら、いちゃつくなら家の中でやってよね」

 頭の上から声がした、赤い刺激的なパンティが見える。いい眺めだ。

 萌が慌てて深の上からおりた。

「お姉ちゃん」

 声の主は萌の姉の緑だった。

「深くん、こんな小娘を相手にしないで私と付き合わない」

 確かに薄いブルーよりは赤の方がいいかもしれない。しかも胸の大きさが違う。

「深に手を出さないでよね、彼氏いるくせに」

「別に彼が何人いてもいいでしょ」

萌のふくれっ面、猫系の顔だけに可愛さが増す。

「こいつも撮らしてくれる、やれるぞ」

 カメラの声が響いた。でも、萌はどうなる、緑とそうなったら。

「そこはお前の腕だな、大丈夫だ、その小娘はお前に惚れている」

 うすうすの予感、思わず萌の顔を見た、そうなのか。

カメラの予言はその後に実際のものとなったがそれはまた次回に。

『太めの倫子』

「君、梅沢由香に売春を強要したよね、それって立派な犯罪なんだけどな」

 車を発進させた亮は、きわめて事務的に御館倫子に告げた。

「私は何も、売春なんて。ただあの子が万引きをした」

「脅迫強要っていうんだよ。売春の強要は懲役三年だよ、上前はねたら懲役五年」

 倫子は明らかに動揺している、法定刑は本当だが、未成年の倫子がそうなることはまずない。ただ亮はそれは言わない。

「私、捕まるんですか」

「まあ未遂だからね、梅沢も売春をしたわけじゃないし」

 御館倫子がほんの少し、ほっとした表情を見せた。

「でも、学校には言わなきゃね、まあよくて停学、君の学校厳しいんだよね」

 倫子が泣き出しそうな顔になった。

「そんなことになったら、私、家から追い出されちゃう」

 声が震えている、今にも本当に泣き出しそうだ。

「お願いします、助けてください」

「いいけど、そのために君は何をしますか」

「梅沢のことはなかったことにします」

「そうだねそれがいいね、でも口約束じゃ、いつひっくり返されるかわからないし」

「どうすればいいと思う」

 倫子は困惑の表情を浮かべた。

「私、処女なんです。でも顔も可愛くないし、でぶだし、それでも良ければ」

「つまり色仕掛けで何とかしようと」

「だめですか」

 倫子が消え入りそうな声で言った。

「いいよ」

「え、こんな私でいいんですか」

 倫子の顔がぱっと輝いた、人間追い込まれると頭が働かないらしい。どう考えてもまともな話ではない。

冷静になれば、むしろ亮が脅迫職権乱用で訴えられる話なのだ。

「あのね、今の覚悟で全部なし。君、本当はそんなに悪い子じゃないんじゃないか」

 倫子がぽかんとした顔をした。

「私が不細工だから、セックスしたくないってことですか」

 そうとるか、かなりのコンプレックスだなと亮は思った。

「いいや、ちがうよ、加害者と肉体関係を持って犯罪を見逃したなんて、俺のほうがアウトになる。それに君は十分可愛いよ」

「うそ、由香に比べたら私なんて」

「それが彼女をいじめようとした理由なの、やめなよ、そんなこと自分を貶めるだけだよ」

「えーと、あのお名前は」

「あ、さっき言ったけど、亮、住谷亮」

「亮さん、お願いします。私がかわいいと思えるなら、処女をもらってください」

予定通りだ、たぶんコンプレックスのある女の子に、かわいいという言葉とやさしさは最強だ。

 亮は二五三号線沿いのラブホテルに車を入れた。ここなら制服のままでも構わないだろう。

 部屋に入るなり倫子は、きょろきょろしている。珍しいのだろう。そういえば、由香もそうだった。

「きゃ」

 亮はいきなり、倫子を抱きしめた。見た目通り太めの彼女は、抱き心地は良かった。

 由香と違い、倫子は自分から目を閉じると下から亮を見上げた。もちろん、キスしてくれということだろう。

唇を合わせると倫子の歯は、カチカチと震えていた。積極的と中身はちょっと違うようだ。

制服のリボンをはずし、ボタンに手をかけると倫子はがたがたと震えだした。

「大丈夫? 無理することはないよ」

「大丈夫です、でも、恥ずかしいから、自分で脱ぎます」

 倫子は亮に背を向けると、シャツを脱いだ、下はキャミを着ておらず、ブラのひもが太めの体に食い込んでいる。

 スカートを足元に落とすと倫子は亮に向き直った。

 顔が真っ赤だ、それはそれでなかなかかわいい。

「ブラ外してあげようか」

 倫子は思いっきり頭を左右に振ると自分で背中のホックをはずした。左手で胸を隠しながら右手でブラをはずした。

「亮さんも脱いでください、私だけなら恥ずかしい」

 いわれるまでもなかった、亮は手早く服を脱ぐと素っ裸になった。

「それが入るんですか」

 大概、『ちんこ』を初めて見た女の子は、おびえた顔をする。

「なめてもいいですか」

「シャワーを浴びてからにしようか」

 恥ずかしがる倫子をなだめて、シャワーのかけっこをした。石鹸をつけた手で、お互いの体をなぜる、倫子の肌は思った以上にきめが細かい。

 さすがに『まんこ』は頑として拒否された。もちろん焦ることは何もない。

 亮はベッドにあおむけになると、約束通り倫子に『ちんこ』をなめさせてやった。

 意外なことに、由香と違って、なかなか上手だった。

「倫子ちゃんは『ちんこ』なめたことあるの」

「本を読んで、バナナで練習しました」

 亮は思わず噴き出した。

「俺もしてあげる」

「いやです」

「なめないと痛いよ」

「大丈夫です、指でしてくれれば」

「じゃ生でするよ」

「いいですよ、今日安全日だもの」

「え、どうゆうこと」

 倫子はちょっと恥ずかしそうな顔をした。

「毎日基礎体温つけているんです、いつそうなってもいいように」

「わかった、じゃあ、おいで」

 倫子は亮の横にあおむけに寝転んだ。『おっぱい』が横に広がる。

「きゃ」

 亮は倫子の『おっぱい』を揉むと乳首を吸った。倫子はぎゅっと目を閉じているが体は小刻みに震える。

「怖い?」

「すこし」

「大丈夫だから力を抜いて」

 亮は倫子の股間に指を伸ばした。彼女の陰毛はきれいに整えられている。

 準備をいつもしているということか、けなげだなっと思う。

「あ、」

 亮の中指が『まんこ』に吸い込まれた。そこは熱く潤っていた。

 人差し指も入れてみる、入りはするが、指に引っかかるものがある、もちろん処女膜だ。

 コリコリ感が分かる、久しぶりにしっかりした処女膜だ。

 亮は倫子の腰をしっかり抱きかかえた。

 「あ、ふう、いい」

 もう準備はできている。亮は『ちんこ』を『まんこ』にあてた。

「いれるよ」

言うなりりょうは『ちんこ』を差し込んだ。

「ひ、い、痛い、痛い、痛い、やだ、ぎゃ」

 もう止められない、亮は腰を進めた『ちんこ』が膜を引き裂く何とも言えない感覚。

「痛い、痛い、お願い、抜いて」

 亮は無慈悲に腰を動かした、というより早く動いて出してやるのが彼女のためだ。

シーツを必死につかみかをを左右に振り悲鳴を上げる、倫子の顔が苦痛にゆがむのが高まりを呼んだ。亮は彼女の体内に向けて放出した。

「終わったんですか、ひどい」

「だから痛いって言ったじゃない」

「だって、こんなに痛いとは」

 シーツが血で真っ赤になっている。

「シャワー浴びようか」

「洗ってくれますか」

「もちろん」

「また抱いてくれますか」

「今日?」

「今日は痛いから」

 亮は笑い出した。

「君さえ望むならいつでも」

「うれしい」

倫子は目を閉じるとキスをせがんだ。

「私、勉強できないと、家を追い出されるんです」

「どういうこと」

 帰りの車で倫子は、ぽつりと言った。

「お母さんと仲が悪くて、本当のお母さんじゃないんです。弟ばっかり可愛がって、私が邪魔なんです」

 ちょっと複雑そうな家庭らしい。話を聞いているうちに、どうやら倫子の思い過ごしだけではなさそうだった。

「弟はお母さん好き?」

「うん」

「じゃあ二人そろって地獄に落としてやれば」

「え、地獄に、さすがにそれは」

「違うよ、殺したりなんかしない、色地獄」

 キョトンとする倫子に、亮は思いついた計画を話した。彼女の顔が驚きから明るいものになっていく。  

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